あなたの未来を守るライフスタイル情報誌乳酸菌PRESS2017
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予防歯科のトップランナー『日吉歯科』汐留診療所

「東京でも世界に誇れる口腔健康を一緒に」

予防歯科の若きトップランナー「日吉歯科汐留診療所」熊谷直大所長インタビュー


日吉歯科汐留診療所を開設された経緯について教えてください

2014年10月にNHKの番組「プロフェッショナル-仕事の流儀-」にて、熊谷崇理事長が取材を受けて、予防歯科の認知が大きく広まりました。その後、東京含め日本全国から「一生涯、自分の歯で過ごすことを望む人たち」が、酒田まで来るようになりました。特に東京からは多かったですね。そのような(遠方から来院される)方々がとても増えたので、東京にも日吉歯科を作りたいという思いが強くなり、汐留に診療所をオープンしました。

どのような患者様がいらっしゃいますか

歯を失う原因の90%以上が虫歯と歯周病ですが、どちらもお口の中の細菌によって引き起こされる病気です。人によって病気になりやすい、なりにくいはあるのですが、ほとんどの人で継続的なメンテナンスによって細菌の数を少なく維持し、発症させないようにすることが可能です。既に日吉歯科酒田診療所は約37年間で、酒田市の人口約10万人に対して1万5千人もの患者さんが、歯を失わず、自分の歯で健康に過ごしていくために、(歯が)痛いとか、お口の具合が悪くなくても定期的に来院してメンテナンスを受けています。そういう人達が、10年、それ以上と経ってもほとんど歯を失わないデータが出ていますので、ここ(汐留)で同じ様にメンテナンスを始められる方々が多くいらっしゃいます。汐留診療所は、2016年3月末のオープンから12月末迄で、延べ4,000人以上の方々が来院されております。その人数がさらに増え続けている状況ですが、その背景には「予防の重要性」や「自分の状況」を知らなかった、という声も少なくありません。酒田診療所で20年以上メンテナンスを受けている方々は、「歯を失う本数」が全世代で平均0.9本です。また、5歳以前から酒田診療所へ通院されている方々は、その80%の方々が20歳になるまで虫歯が1本も無いんですね。そういった事が実現するのであれば、やっぱりそれは必要であろうと、皆様が思う様になっていくというのは、当然のことだと思いますね。


診療所を開設されてすぐ、連日予約で埋まってしまったとお聞きしましたが

年を重ねても歯を残したい、いつまでも健康に過ごしたいと求めている方々が多いことを、汐留診療所を開設することで私たちも気づかされました。ここの診療所は5部屋(3部屋メンテナンス・2部屋治療室)でスタートしましたが、開設後の予約状況を踏まえ、立ち行かなくなりましたので、今月(2017年1月)より一つ下のフロアも借りて、工事に入っている状況です(2017年3月より6部屋目も開設)。


先生は海外でのご経験も豊富ですが、日本の患者、歯科医療との違いはどんなところでしょうか

例えばアメリカの場合、年収250万円以上の方々は、約80%ぐらいが定期的に歯の予防メンテナンスを受けています。250万円以下の方々でも50%ぐらいはメンテナンスを受けています。アメリカは日本の様に「保険」の治療がありませんので、虫歯になったり治療が必要になってしまうと医療費が非常に高いということがあって、それを避けるために、という習慣があります。スウェーデンでは、子供の頃〜20歳までは国が費用を負担してメンテナンスを受けられる、という制度を作っています。20歳までですと実に99%以上、20歳を超えると自己負担となりますが、それでも90%以上の人達がメンテナンスを受けています。またスウェーデンの場合は、60歳を過ぎても約80%の方々がメンテナンスを受けていると聞いています。そのような海外の事例を聞いていますと、「病気にならない為の医療」というのは、普遍的に必要なもので、そのような大切さに「気づいているか、気づいていないか」という問題になってくると思います。まさにお水とか、電気とか、道路とかと(必要性という観点で)一緒ですよね。


汐留診療所に通院されている方々は、予防が普遍的に必要であるという意識は浸透しているのでしょうか

そうですね、患者様がインターネットで色々と勉強されたり、NHKプロフェッショナル放映後は、「カンブリア宮殿」の取材、番組放映があったりなど、「予防の重要性への」認知は確実に広まっています。さらに「予防」は自分が一生涯健康に生活することへの意義や価値である、という考えが以前にも増して広まっていると思いますね。だからといって自分の口腔内の状態が、自分でわかる訳ではないですし、人によって虫歯や歯周病になりやすい、なりにくい、も異なります。やはりきちんと歯医者で検査をし、今どういう状態なのかを確かめるために、私たちはレントゲン検査、口腔内写真、歯茎の検査、唾液の検査、様々なことをします。そこでどの様な状態になっているのかを確認し、場合によってはこのままだと歯を失う可能性がある人達たちには、「そうならない様な未来に変えていく」というという事を、私たちはメンテナンスを通じてプログラムを作ることができます。そのような役割が大切だと思っていますし、患者様もメンテナンスを経験して予防の知識や重要性を学ばれていく、わかってくるということに大きな意味があると思っています。


日吉歯科汐留診療所の皆さん
歯医者さんで「全身の健康」というテーマを唱えられる歯科医は、現在は少ないと感じて、私たちには「新しいこと」に感じられます。(海外の様に)これを日本でも広げていくためにはどうしたら良いか、とお考えでしょうか

そういった(口腔内のケアが全身の健康につながる)可能性の高さが様々な研究からわかってきていて、それを推進する医療はもう始まっています。まずはそこで皆様が自分のお口の健康状態がどうなのか、を知ることからだと思います。それで(場合によっては)どのような治療が必要なのかを聞き、その先のメンテナンスのプログラムをきちっと作ってもらう、という一連の流れを「経験する」というのが一番大切であると思います。歯が残ることの大切さだけではなくて、最終的には全身の健康に結びついていくことを実感、経験される方を増やしていく、というのが大切だと考えます。これが浸透していくのは時間のかかることかもしれませんが、「始めなければ始まらない」のも事実です。そのような方々が湖池屋様の様な企業の中でも増えていけば、新しい感覚、価値観の中で、健康と関連の高い様々なビジネスも創出され、経済も活性化されるとも思います。


歯のメンテナンスを小さい頃から行う必要性や大切さについて、教えてください

もちろん、(年齢が)早ければ早いほど歯を失わない確率は高くなるのは事実です。もっと言えば、お子様が生まれる前にお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが予防に関する経験や知識や習慣を持っている家族でありながら、そこに新たな家族が増えていく、というのが一番望ましいことだと思います。酒田診療所はまさに約37年もの歳月をかけて、それが出来上がってきています。最初に来院された方が今やおばあちゃんになっていて、その子供、そして幼少の孫までメンテナンスに来ている、という事例は少なくありません。子供からメインテンスをするのは良いことではありますが、子供だけやっていてはだめで、やはり川上(親の方)から始められることが大切で、家族みんながが健康であり続けることに価値があると思います。


まだまだ予防の知識や大切さを知らない人達が多いと思うのですが

日吉歯科診療所としては、できることはそれほど多くはないのですが、予防の大切さを感じて来院されてくる方々の為に、清潔な「場所」と信頼できる「人」をできるだけ多く提供していきたいと思っております。またそれを推進、実現する為に高度な医療を提供できる人材を育てていきたいと思っております。日吉歯科のみでなく、他の様々な歯科医院に対しても、教育活動を通してサポートをしていきたいと思っております。既に毎年、年間で約1,500名の歯科医療関係者の方々が酒田診療所へ研修にいらっしゃっています。


湖池屋は社員への福利厚生制度として「歯の予防メンテナンス費用補助」を試験的に開始しました。始まったばかりの新制度ではありますが、社員へのアドバイスをお願いします。

(予防メンテナンスを)早く始めた方々というのは、その価値に早く気づきますし、価値を共有され、その先のステップに行かれると思います。時代の先を行き、価値を生み出すという観点から、 (社員の健康に気を配る)そのような活動をされている企業は、それがプロダクト等に「にじみでてくる」と思いますね。また、福利厚生制度への導入は素晴らしいことではありますが、あくまでもきっかけにすぎないと思います。つまり、結局は「自分ごと」なので、自分の口腔内のことを歯科衛生士さんによく教えてもらうことが大切です。また、若い社員さんは、歯が無くなると想像できないかもしれませんが、家族や友達、そのご家族等、歯がなくなって苦しんでいる人達は大勢いらっしゃいます。そのようにならないことが最も大切なのですが、なかなか自分だけで知りえたり、理解するのは難しいと思います。日吉歯科汐留診療所を通じて、それを教えてもらったり、知ってもらいながら、「自分ごと」にしてもらいたいですね。そしてほとんどの人達はメンテナンスによって歯を失わないようにできます。メンテナンスは、歯を削る、かぶせる、抜くといった「治療」と違い、痛みもなく気持ちの良くなるものです。そのメンテナンスを継続し、歯周病、虫歯の予防はもちろん、全身の健康に繋がる価値があります。全身の健康を維持できるその先には、最終的にその人の生涯に渡る「治療」での痛みや、治療費を中心とした費用の削減にも繋がっていきます。社員の皆様の未来が、そのように変わっていける様に、一緒に頑張りましょう。


profile

日吉歯科汐留診療所長 熊谷直大さん

1980年生まれ、山形県酒田市出身。
2005年    新潟大学歯学部卒〜
2006年    タフツ大学歯科大学院審美歯科専攻過程修了。
2009年    同大学歯科大学院補綴専門医。
2009年〜   日吉歯科診療所 歯科補綴専門医。
2010年    同大学大学院修士課程修了〜。
2015年    同大学兼任講師。
2012年    米国歯科補綴ボード認定専門医。
2013年〜   新潟大学非常勤講師。
2015年〜16年 東京工業大学非常勤講師。
2016年    日吉歯科診療所汐留 所長
       現在に至る