あなたの未来を守るライフスタイル情報誌乳酸菌PRESS2017
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「予防歯科」名医を訪ねる

「過去を治し、未来をつくる」

Apple Dental Center 畑 慎太郎院長インタビュー

「過去を治し、未来をつくる」Apple Dental Center 畑 慎太郎院長インタビュー

開院時からの変遷について教えてください

最初は、きちんと治療をし「うまい・安い・早い・感じがいい」を大切にして、患者さんに好かれる歯科医院を目指していました。「予防」については「治療のついでに」という位置づけだったと思います。経営面でもうまくいっていましたが、傍らでコンセプトや信念に欠けるスタイルに葛藤を感じていました。2012年のある時、「ちょっと予防についても勉強しよう」という気持ちで参加した予防歯科セミナーが大きな転機となりました。「うまく・安く・早く・感じよく」治療する歯科医療は、時に患者さんの未来にむかって無責任になりうることを、知ってしまいました。知ってしまった以上、「これではいけない」と思い、クリニックの診療システムと歯科医師・歯科衛生士・受付事務の意識改革に着手しました。患者さんの悪い所をただ治すのではなく、「口の中の健康を維持、向上させながら年齢を重ねていくお手伝いをする」ことが、今の当院のコンセプトです。

乳酸菌LS1の説明を聞く畑院長と歯科衛生士さん。

乳酸菌LS1の説明を聞く畑院長と歯科衛生士さん。

Apple Dental Centerの美人衛生士さんたち。患者さんからの信頼も厚い。

Apple Dental Centerの美人衛生士さんたち。患者さんからの信頼も厚い。

痛くなってから来院する患者さんは、
「早く治してほしい」と思うでしょうから、理解や信頼を得るのが大変そうですね

当院では痛みが強いような場合は緊急処置を行いますが、当面咬める様にするといった場当たり的な治療はしません。なぜなら多くの患者さんのお口の中は過去に治療を受けた歯のトラブルのくり返しがとても多いからです。虫歯をすぐに削って金属やプラスチックに置き換えてもまた再発をしてしまいます。したがってまずはなぜそうなったのかという原因の分析から始めるわけです。写真とレントゲンにて、現在のお口の状態をお互い知ることから始め、食生活や唾液検査などの検査で虫歯や歯周病のリスク評価をきちんと行ってから、症状に応じて治療を決めていきます。このリスク評価が当院のいちばんの特徴です。1回目のリスク評価の後に初期治療を行い、その治療によってどう変化したのか調べるため、もう一度リスク評価をしてから治療計画を立てます。最初の検査の結果だけでは修復治療中心になりがちだからです。歯科治療は急いで行うと、やりすぎてしまうものなんです。患者さんにはプロセスを踏むことの必要性をきちんと説明し、理解してもらっています。当院では、患者さんにはまず歯科衛生士が担当について、検査結果の説明などは衛生士が行います。虫歯や歯周病の原因になるバイオフィルム(微生物)の状態を定期的・継続的に管理していくのは歯科衛生士ですから、歯科医療で非常に大きな役割を担っているんですね。

Apple Dental Center

東京都西東京市・東伏見駅の駅前立地でありながら、どこか閑静な雰囲気があるApple Dental Center。開院は2004年6月で、2回の改装と診療プロセスの変更を重ねながら、現在は8部屋の個室で清潔感溢れる、明るい雰囲気で患者さんを迎え入れています。

優しい光が入り込む、明るく清潔感溢れる個室の診察室。

優しい光が入り込む、明るく清潔感溢れる個室の診察室。

どのような患者さんが来院されていますか?

患者さんは地元の方以外にも神奈川県や埼玉県からもいらっしゃいます。年齢層は子どもから高齢の方までさまざまです。すぐそばに早稲田大学やアイスホッケー場があるので、大学生の患者さんやアイスホッケーの試合で歯を折ったりした人が受診することもあります。ただ、小学校高学年から高校生くらいの子どもの患者さんが少ないのは気がかりですね。これは当院だけではなく、それくらいの年齢の子どもはあまり歯科医院に行かないのではないでしょうか、親の言うことをいちばん聞かない年頃ですし。この頃に定期的に歯の状態を見ていくことは将来にわたって歯の健康を守るために重要なので、心配ですね。

「予防歯科」を推進していく上での展望をお聞かせください

日本は高度経済成長期にケガや疾病に関する「治し方」の知識や技術が飛躍的に進歩しました。日本の平均寿命はまだ上昇傾向にありますが、「健康寿命」を患者さんと二人三脚で真剣に取り組んでいくにあたっては、「治し方」と「予防策」を分けて考えていただくことへの理解が大切だと思います。患者さんに対してどのように工夫をしながら正しい知識や真実、リスクを「リマインド」していくか、そこには歯科医師や衛生士だけでなく、企業と連携した啓蒙活動も大切だと思います。

院内の壁にある大きなパネル。

院内の壁にある大きなパネル。
「80歳で28本の歯を残す」という
畑院長の決意が伺える。

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