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仙台育英学園 秀光中等教育学校
「チームLS1」 灼熱の宮崎で奮闘!

花咲徳栄高校、第99回 全国高校野球選手権大会で初優勝!
日本一からの招待―。

仙台育英秀光中等教育学校が、2010年から掲げているスローガンである。その年ごとにさまざまなテーマはあるが、土台となる考えは変わっていない。
「日本一はつかみとるものではなく、招かれるもの。日本一にふさわしい行動、取り組みを続けていれば、自ずと日本一の招待状が舞い降りてくる。」2007年から指揮を執る須江航監督の考えである。
2014年夏、徳島で行われた全国中学校軟式野球大会(以下、全中)で初めて日本一に招かれた。走塁、二塁けん制、ポジショニングを徹底的に究め、他のチームを圧倒。全中を含めて年間成績169勝5敗1分と驚異的な数字を残した。キャプテンの西巻賢二、内野の斎藤育輝ら主力選手は進学した仙台育英高校で活躍し、今夏の甲子園では大阪桐蔭高校に逆転サヨナラで勝利。秀光中で培った経験は、高校野球でも確実に生かされている。

「1番・捕手」攻守の要、木村捕手(2年)。

「1番・捕手」攻守の要、木村捕手(2年)。投手への丁寧なリードが光り、打撃では準々決勝でレフトオーバーの2塁打を放つなど、強打の1番打者としても活躍。

準々決勝0-0で迎えた6回裏、冷静な好走塁で先制のホームを踏んだ杉山選手(3年)。

準々決勝0-0で迎えた6回裏、冷静な好走塁で先制のホームを踏んだ杉山選手(3年)。準決勝では先発投手として、制球力抜群の安定した投球を見せた。

準々決勝を3-0で勝利し、校歌斉唱。

準々決勝を3-0で勝利し、校歌斉唱。選手個々が役割を理解し、淡々と、正確に進めていく姿に強さを感じるゲームであった。

今季のテーマ「丁寧さ」「献身さ」を追求し、目指した日本一

年、秀光中は4年連続7度目となる全中に出場した。開催地は南国・宮崎。狙うは2014年以来の日本一だ。チームが掲げたテーマは「丁寧さと献身さ」。夏の宮城大会開幕前に、須江監督は選手に告げた。
「丁寧さと献身さに勝るものはない。このことだけを徹底してやり続けていこう」
春の全日本少年軟式野球大会では、準決勝で守備が崩れて0対4で敗戦。新チーム発足後から守備を重点的に鍛え上げてきたが、肝心の全国大会で痛いミスが続いた。
この敗戦からさらに基礎基本を徹底。キャッチボールでは「捕球時に目線とボールを合わせる」「グラブの芯で捕り、音を鳴らす」など、当たり前ではあるが、意識が抜けがちのことをくり返し続けた。
宮崎全中の開会式前、須江監督はこう話していた。
「技術はあるチームなので、あとはどこまで丁寧にできるか。そこが一番のポイントです」ひむかスタジアムで行われた初戦(2回戦)の鹿児島育英館中戦は、相手ピッチャーの変化球を見極め、5対0で快勝した。感心したのは、守備のときに内野陣が何度も何度も土をならしていたことだ。キャッチャーの木村航大(2年)は、手でキャッチャーボックスやバッターボックスをならしていた。
「丁寧にならすことで、ピッチャーに安心感を与えられます。自分自身も落ち着いてプレーすることができます」(木村)
ただ、いつもできるわけではない。試合に集中しすぎると、ならすことを忘れることもある。そんなとき、「木村、ホームベースまわりならしておけよ!」と声をかけていたのがショートの小熊慎之介(3年)だ。こんなやり取りをしているチームには初めて出会った。
「公開練習のときに土が荒れやすいのがわかったので、いつも以上にならすことを心がけました。2年生には、気付いた3年生が積極的に声をかけるようにしています」(小熊)
須江監督が求める「丁寧さ」とはこういうことなのかと、試合を見て実感した。そして、「献身さ」とは仲間のために声をかけ、プレーをすること。この2つがしっかりとできていれば、自ずと結果はついてくる。

惜しくも3位で大会を終えた秀光中ナイン。新チームで2014年夏以来の全国制覇を目指す。

昨年夏の同大会、今春の全日本少年軟式野球大会に続き、惜しくも3位で大会を終えた秀光中ナイン。新チームで2014年夏以来の全国制覇を目指す。

準々決勝は、石川・兼六中に3対0で勝利。無得点で迎えた6回裏、無死一塁から杉山歩海が絶妙なディレードスチールを決めると、主砲の宮本拓実がランナー二塁からのセーフティエンドランを決めて、貴重な先制点をもぎとった。戦術の完成度は、群を抜いていた。
ただ…、トーナメントはどんなときでも勝ち続けなければいけない。いいときもあれば悪いときもある。ダブルヘッダーで行われた準決勝の北海道・白翔中では、1回表に守備のミスが重なり2失点。大事にしてきた丁寧さが、ここでは少し欠けていた。攻撃陣は粘りの野球で1点差に詰め寄るも、チャンスで決定打が出ずに1対2で敗戦した。
第三位の表彰を受けたあと、須江監督はベンチに選手を集め、およそ20分語りかけた。
「この日のことを絶対に忘れるな。そして、今日、約束してくれ。保護者やお世話になった方々に感謝を伝えるとともに、これからどう過ごしていくのか、どう生きていくのかを言葉で誓ってほしい。勝っても負けても必ず終わりはくる。でも、ここで終わりではなくて、またここから始まるんだ」
キャプテンの宮本は涙をためながら、これからの誓いを述べた。
「1、2年生が日本一になれるようにバックアップし、高校では秀光中で学んだ“丁寧さ”を大切にして、プレーしていきたいです」
宮崎の地でそれぞれが誓った想い。この敗戦を力に換えて、再びの日本一に挑戦する。文・大利実

profile

スポーツライター 大利 実

1977年生まれ、横浜市港南区出身。スポーツライターの事務所を経て、2003年に独立。中学軟式野球や神奈川高校野球を中心に取材・執筆活動を行っている。『野球太郎』『中学野球太郎』『ホームラン』などで執筆。著書に『中学の部活に学ぶ わが子をグングン伸ばす方法』(大空ポケット新書)『高校野球 神奈川を戦う監督たち』『高校野球 神奈川を戦う監督たち2』(日刊スポーツ出版社)『101年目の高校野球「いまどき世代」の力を引き出す監督たち』(インプレス)がある。

秀光中は3学年で総勢35名。強豪校では少数精鋭といえる人数だが、本当の意味でチーム一丸と言えるチームワークが光る。ベンチやスタンドから鼓舞する声は、出場選手たちに勇気を与えていた。

準々決勝は先発投手で完封、4番打者として先制タイムリーを打ったエースで4番の宮本主将(3年)。準決勝もライトからナインを鼓舞し続け、4番打者として2安打を打つも、あと一歩勝利に届かなかった。大会後、U-15侍ジャパン代表に選出された。日本代表としての活躍にも期待。

〈上〉チームを率いた須江航監督(34)。大会前までのチーム成績は167勝7敗(1分)と、驚異的な強さで全国大会へ出場。チームへ徹底していた「丁寧さと献身さ」という指導は、野球だけでなく中学生としての人間形成の場として、かけがえのない経験や教えになった。〈下〉3位入賞の表彰を受ける選手たち。全国大会では昨年夏、今春に続き3期連続の3位。

ぶれない指導、育まれる「自主性と判断力」

惜しくも2度目の全中優勝を逃し、全国3位でこのチームで最後の夏を終えた秀光中。私たちは宮崎・サンマリンスタジアムのスタンドで勝利と敗戦両方の光景を目にしました。このチームも湖池屋が昨年12月からサポート活動を始め、思い入れをもってサポートをし、チームの健康や成長を追っている「唯一の中学校」です。昨年末、始めて須江監督に出会った時こんな方針をお聞きしました。「“予防医学”は一番やりたかったこと。日常から「予防」を心がけることで、自分の体への意識も高まるし、興味を持つようになる。選手たちが自主的に食や健康に興味を持つことが一番。」この須江監督の方針を踏まえ、有望な中学生選手の未来を守るために、湖池屋・乳酸菌LS1は引き続きサポート活動を行っていきます。2度目の全国制覇への道は来春以降に持ち越されましたが、秀光中が「日本一から招待」されるのは遠くない、と思います。

湖池屋 ダイレクト マーケティング部
乳酸菌LS1ショップ
店長 青島 健二

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