あなたの未来を守るライフスタイル情報誌乳酸菌PRESS2018
NO.
15

「予防歯科」名医を訪ねる

「福岡発のイノベーションで世界へ突き抜ける」

つきやま歯科医院 歯科医師 専門医療センター・センター長 築山鉄平

つきやま歯科医院 歯科医師 専門医療センター・センター長 築山鉄平

つきやま歯科医院の歯科医になるまでの経緯について教えてください。

 2001年に九州大学歯学部を卒業後、出身大学には残らず、佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)歯科口腔外科講座に研修医として入局致しました。同講座は東南アジア、スリランカ、北アフリカ地域への口唇口蓋裂という先天疾患に対する技術知識支援ボランティアを年に数回行っていて、その国際ボランティアに参画することで国際感覚をつかむことの重要性を肌で感じたのを覚えています。その後、英語の語学留学、東京の著名な補綴専門医の先生のところで研鑽を積み2006年から2010年までの約5年間をタフツ大学歯周病科(米国マサチューセッツ、ボストン)で過ごしました。その後、本格帰国し1989年に父、築山雄次が開院したつきやま歯科医院に2011年から勤務開始を致しました。
 元々、父の歯科医療哲学は「予防こそが医療の本道」であることを常々大事にしており、開業当時より患者さんに寄り添った予防歯科を展開してきました。そこに加えてより科学的な視点を持った予防歯科を導入することにより、より多くの患者さんのお口の健康を守ることができるようになってきました。

つきやま歯科医院の歯科医になるまでの経緯について教えてください。

様々な歯科医療に関する学術書籍にも執筆されている築山先生。口腔内だけでなく、全身の健康との相関関係を推察し、それを踏まえた健康利益を提供することを目指しています。

つきやま歯科医院の歯科医になるまでの経緯について教えてください。

どのような患者さんがいらっしゃいますか

 30年前より、地域に根ざした予防歯科を実践していますので、老若男女あらゆる世代の方がいらっしゃいます。以前は歯で困ったことが悩みでお越しになる方が多かったですが、最近では最初から予防メインテナンスを求めて来院される方も増えていて、私たちの取り組みが一定の評価を得られているのかなと感じています。

患者さんに対して「なぜ、定期的なメインテナンスが必要なのか?」を
どのようにご説明されていますか?また、患者さんの反応はいかがでしょうか?

 様々な工夫をしています。まず予防メインテナンスで定期通院することで具体的にどれだけ歯を失わずに済むかの長期データがありますので、具体的な数値実績をお伝えしたりすることもありますし、メインテナンスに通院していて虫歯が一本も無い若者のお口の写真アルバムをお見せして、治療を受けていないお口の中の素晴らしさをイメージから感じていただいたりしています。また各患者さんごとに担当歯科衛生士が専属でつくことで、患者さんの個性にあったわかりやすい媒体やイラストを用いてご説明するようにしています。
 また医院全体で「患者さんの口腔健康を守る」という意識を持っていますので、つきやま歯科医院の入り口に入った瞬間から、さまざまな媒体や、やりとりを通して予防に通院していただく素晴らしさや、そのメリットをお伝えするように努力しています。

つきやま歯科医院
つきやま歯科医院

つきやま歯科医院の清潔感あふれる外観や、歯科とは思えない洗練された待合室。1Fに8部屋の治療室、2Fに10部屋のメインテナンスルームを全室個室で完備し、多くの患者さんを迎え入れています。

つきやま歯科医院

患者さん向けのヘルスケアセミナーも月4回開催し、予防の価値を広げる活動を医院で取り組んでいます。フェイストゥフェイスでお話しさせていただく機会になりますので、診療室での患者対専門家の関係性よりも、予防メインテナンスの大切さがより伝わりやすくなっています。

歯周病などの疾病は、まだまだ軽視されがちであると感じますが、
どのようなリスクがあるのでしょうか?

 歯周病になると血管が開くことにより出血が起こりやすくなります。歯周病原因菌がその開いた血管内に入ることにより、脳血管障害や心疾患、糖尿病など、重度な疾病に罹患するリスクが増大します。
 最近では一見関係がなさそうに見える深刻な疾患、例えば「がん」や「アルツハイマー」との関係性も指摘されるようになりました。また歯がしっかり残っている高齢者は、そうでない高齢者と比べて誤嚥性肺炎などのリスクもあがりますし、医科の年間総医療費も高額になる傾向にあります。口の健康を損なうということは全身の健康を損なうリスクにもなり、そういう意味では歯周病は全身疾患のリスクであると考えています。

歯周病などの疾病は、まだまだ軽視されがちであると感じますが、どのようなリスクがあるのでしょうか?

歯科医療従事者の方々に対するセミナーに登壇する機会も多い築山先生。歯科医療のイノベーションを目指し、様々な活動をされています。

歯周病などの疾病は、まだまだ軽視されがちであると感じますが、どのようなリスクがあるのでしょうか?

つきやま歯科医院で取り組まれている
「新しい取り組み」などございましたら教えてください。

 歯科医院は本来、病気になって通院するというより、健康な状態を維持するために予防メインテナンス目的で通院することが好ましく、歯科先進国と言われるスウェーデン、アメリカでは国民の予防メインテナンス通院率は80%を超えると言われています。一般的にメインテナンス目的で定期通院される患者さんは全身的に健康な状態で通院する方がほとんどです。歯科医院は数ある医療機関の中で、病気のない健康な状態で通院する唯一の医療機関だと言われています。その視点から、私たちは口腔内の健康のみでなく全身の健康にも役割を果たすことができると考えており、特に歯周病は炎症性全身疾患(心疾患、脳疾患、糖尿病、関節リウマチ、メタボリックシンドローム、腎疾患)に影響を与えることがわかっているため、全身スクリーニングを行うような機能や役割も求められると考えています。例えば、糖尿病と重度の歯周炎はお互いに影響を及ぼしあうことが膨大な科学的根拠から明らかになっており、隠れ糖尿病の患者さんを見逃さないように簡易血糖値スクリーニングを導入しています。
 さらに「予防メインテナンスでお口を健康に保つ」良い輪が広がるように、一般企業などと連携をして健康経営の延長上での福利厚生による予防メインテナンスを促進したり、メインテナンスで来院される患者さんにクラウドを利用した患者さん自身の口腔内の情報をより身近に、よりわかりやすくお届けするような医療サービスも開始しています。

つきやま歯科医院の皆さま。歯科衛生士、歯科医師、高度な専門知識を有する専門医などの精鋭の方々。

つきやま歯科医院の皆さま。歯科衛生士、歯科医師、高度な専門知識を有する専門医などの精鋭の方々。

歯周病などの疾病は、まだまだ軽視されがちであると感じますが、どのようなリスクがあるのでしょうか?

(一般市民の方々へ)予防に関する
アドバイスをお願いします。

 2007年出生の日本人の50%が107歳まで寿命が延伸すると、2017年ダボス会議など多方面で言われ始めました。「人生100年時代」の中で人生目一杯、自分の歯で食べて、話して、笑うことができる重要性は輝きを増しています。後期高齢者の8割以上が入れ歯にお世話になっている現状では、それを象徴するように、とある雑誌のアンケート調査「リタイアした後に健康面でもっとも後悔した事は?」の第一位は「歯を大事にすれば良かった」です。
 今までは「歯が痛いから」「困った時だけ」という歯科医院の利用方法が一般的でした。現在でもそう誤解されているかもしれません。これからは歯やお口の中を健やかに保つための定期的な「予防メインテナンス通院」が絶対におすすめです。実は、困った時だけの通院を繰り返していると、そうでない通院と比べて約20倍歯を失うスピードが早いことがわかっています。予防歯科先進国のスウェーデンでは「予防メインテナンス」目的で通院する国民は全体の90%で、結果80歳代になっても、きちんとした状態で歯が約21本も残っています(人は全部で28本:親知らず除く)。日本は「予防メインテナンス目的の通院」率は全体の20%以下で、その結果残っている歯の本数は約13本です。さらにその約半数が入れ歯に依存している現状です。これからは「痛くない」「健康でいるために」歯科医院を上手に利用していただきたいと思います。
   私たち歯科医師・歯科衛生士自身が、なぜ虫歯や歯周病にならないかご存知でしょうか。その秘訣の一つは「予防メインテナンス」です。そして来院時に他の様々な秘訣をおすそ分けできればと思います。

(一般市民の方々へ)予防に関するアドバイスをお願いします。

本年1月より乳酸菌LS1も取り扱い販売を開始。患者さんが院内で気軽に試食できるようにしています。LS1を試された、おばあちゃんがお孫さんの為に購入するケースもあるそうです。受付の山中さんには「朝、すっきりして気持ちが良い」という感想も寄せられています。

(一般市民の方々へ)予防に関するアドバイスをお願いします。

2018 No.15 Download >

歯科医師 築山 鉄平

profile

歯科医師 築山 鉄平

2001年:九州大学歯学部 卒業
2001年:佐賀医科大学 歯科口腔外科 勤務
2005年:日本橋矢澤歯科医院 勤務
2006年:タフツ大学歯学部歯周病インプラント科
2009年:タフツ大学歯学部審美補綴フェロー
2010年:つきやま歯科医院 専門医療センター
2014年:福岡歯科大学 非常勤講師
     タフツ大学 招聘臨床助教授