乳酸菌LS1モデルチームインタビュー
乳酸菌LS1オフィシャルパートナー・仙台育英学園 秀光中等教育学校軟式野球部
“勝負の夏”に向けて新たなスタート
惜しくも春の全国制覇ならず昨年12月、仙台育英学園内の人事異動で、仙台育英秀光中・須江航監督が高校の硬式野球部監督に就任することが決まった。須江監督から直接報告を受けた選手たちは、その場で泣いた。涙が止まらなかった。そこから数週間、秀光中は指導者不在となり、選手たちだけでの練習が続いた。新チーム発足時に掲げたテーマは「自己解決能力を上げる」。選手同士で問題を解決していく。今こそ、それが試されるときだった。
「日本一からの招待」
2018年1月、新監督に仙台育英高でキャプテンを務め、甲子園にも出場した小杉勇太新監督が就いた。「プレッシャーしかありません。勝たなきゃいけないというよりは、負けちゃいけない」。そして、秀光中時代から学生コーチとして須江前監督の野球をもっとも近くで見てきた小野寺翔が、コーチに復帰。都内の大学に通っているが、春休みの期間を使って、チームをサポートすることになった。チームの想いはひとつ。
「日本一になって、須江監督に恩返しする」だが、試練は続く。3月4日の練習で、最速144キロを誇る全国屈指の左腕・笹倉世凪(3年)が右足首を骨折。ダブルエースのひとり&四番打者が、離脱することになった。継投と攻撃力に不安を残すなかで、3月24日に「文部科学大臣杯 第9回全日本少年春季軟式野球大会」が開幕した。日本一になるには、3日間で5試合勝ち抜くことが必要だ。 初戦(長崎・佐世保市立大野中)と2回戦(静岡・東海大静岡翔洋中)は、最速141キロを誇る伊藤樹(3年)の快投もあり、ともに2対0で勝利。「ぼくが一番緊張していました」と振り返る伊藤だが、2試合13イニングで1安打、16奪三振、無四球と完璧なピッチングを見せた。
2試合13イニング無失点、被安打1と完璧な投球を見せた伊藤樹(3年)
攻守でチームを引っ張ったキャプテンの島貫丞(3年)
準々決勝は島根・大田二中。大会規定によって伊藤は登板できず、古川翼(2年)がマウンドにあがった。秀光が先制する展開も7回に追いつかれ、無死満塁から始まるタイブレークへ。表の守りで3点を失うと、その後の反撃及ばずに、2対5で敗れた。「私の力不足です」と小杉監督が言えば、主将の島貫丞は「打球ばかりを追いすぎて、走路やカバーリングなどを評価できる選手が少なかった。今まで大事にしてきた秀光中の野球ができなかった」と悔し涙を流した。激励に訪れていた須江監督は、「本当に大変な中、ここまでよくやってくれました」とねぎらったあと、「ここから新しい秀光中が誕生します」と前を見据えた。終わりは始まり――。夏の全日本中学(広島開催)での日本一に向けて、新たなスタートを切った。
文・写真 大利実
準々決勝敗退後、夏に向けての巻き返しを誓った小杉新監督
小杉監督(左)、小野寺コーチ(右)の激励に訪れた須江前監督(中)